NPO法人埼管ネット会員限定 第24回マンション管理組合実践セミナー報告 日時:平成16年5月8日(土)13:30〜16:30 会場:川口総合文化センター(11階中会議室) |
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 主催 NP0法人埼管ネット (埼玉県マンション管理組合ネットワーク) 後援 関東法律事務所 マンション問題総合研究所 |
先月連休明けの5月8日、NPO法人 埼管ネット通常総会後、引き続き第24回マンション管理組合実践セミナーを開催しました。セミナー内容は、各管理組合の規約改定の参考となるよう標準管理規約の改正について解説を行いました。 質疑応答時にはセミナー参加者の皆さんから活発な質問や意見が続出し、関心の高さが見受けられました。 テーマ1:標準管理規約の改正について 青山和憲マンション問題総合研究所理事 今日は連休の中日にも係わらずセミナーに出席いただき有難う御座います。昨年の6月に改正区分所有法が施行され今年の1月には標準管理規約が改正されました。これを受けて各管理組合でも管理規約の改正の論議がされ始めていると思います。今日はマンション問題に詳しい小林先生を御招きして、標準管理規約改正のポイントについて御話していただきます。皆様の管理組合の管理規約改訂に役立つ御話になると思います。 標準管理規約の改正 弁護士 小林 美智子 平成16年1月23日に国土交通省からマンション標準管理規約の改正について、単棟型・団地型・複合型それぞれが公表されました。 この標準管理規約の位置づけは、マンションの実態に応じて各管理組合が管理規約を制定、変更する際の参考とするものと考えて下さい。 今回の改正の要点は、 1.区分所有法等の改正に伴う改正として、マンション管理士等の活用、建替えに関する支出、大規模修繕の決議要件、電磁的記録に関する規定。 2.マンションを取り巻く情勢を踏まえた改正として、管理組合の業務の追加(修繕履歴等の管理、コミュニティ形成)、未納管理費請求業務の簡素化、環境・防犯問題に対する規定。 ⇒コミュニティー形成が盛込まれた背景は、今までマンションは1戸建ての仮住まいのステップとして位置づけられていましたが、永住するという考え方にかわってきたため、コミュニティ形成機能、例えばペットの規定等細かく定めるなど生活して行く上で必要なことをもう一度考え直しましょうという意図が含まれています。 3.新規約が定められましたが、その内容は良く読まなければわかりません。そこで規約の補足説明としてコメントの充実が図られています。しかしながら内容的にはまだ不充分なものです。個々の管理組合が実情に合わせ分かり易い規約の作成が必要です。 次に具体的な改正点を今回は単棟型のケースについて解説します。従前の平成9年に公表されたものは全67条で構成されていましたが、今回の改正で全72条の構成となっています。 第1章 総則 第3条「規約及び総会決議の遵守義務」は変更で従前は、規約のみでした。 第5条「規約及び総会決議の効力」は変更で従前は、やはり規約のみでした。 第2章 専有部分の範囲は変更ありません。 第3章 共用部分の範囲は変更ありません。 第4章 用法 第16条は「敷地及び共用部分等の第三者の使用」は変更で管理事務室、東電借室等の取扱いをマンション管理適正化指針に合わせて修正を行いました。 第5章 管理 第1節 総則 第22条「窓ガラス等の改良」は新設で、管理組合の責任において玄関扉を含み防犯、防音、生活環境の改善について、計画修繕を行うことと定めていますが、管理組合が出来ない場合は第2項において詳細を定めることができることとしました。 第24条「損害保険」は変更で、従前は契約を「理事長が行う」となっていましたが、区分所有者全体の契約を理事長個人が行うのはおかしいため「区分所有者の代理を行う」としました。 第2節 費用の負担 第25条「管理費等」は文中の用語変更で、従前は「特別修繕費」と表現されていたものを、分かり易く「修繕積立金」としました。 第27条「管理費」は文中の用語変更で、従前は「管理人」と表現されていたものを、「管理員」とし「委託業務費」を「管理委託費」としました。また、新設では専門的なアドバイス、コミュニティ形成に要する費用(自治会)等について予算化できる様になったことです。 第28条「修繕積立金」は、建物の建替えに係る計画または設計、建替えに要する調査費用についてもその経費を修繕積立金から充当できるとしたものです。ただし、建替え不参加者分の修繕積立金は使用できません。 第6章 第2節 管理組合の業務 第32条「業務」では、@建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査、A設計図書(確認申請書類副本、竣工図書)等の管理、B修繕等の履歴情報管理、C居住者間のコニュニティ形成、D管理組合が消滅した場合の残財の処理に関する規定が追加されました。 第33条「業務の委託等」は業務を委託する「第三者」という表現を具体的に適正化法第2条第8号の「マンション管理業者」と変更しました。 第34条「専門知識を有する者の活用」はマンション管理運営について管理組合は、各分野の専門的知識を有するものに対し相談、助言、指導、援助を求めることができると新設されました。 第3節 役員 第37条「役員の誠実義務」は文中に「その他使用細則」を追加することにより役員の誠実義務について細かく定めた方が良いとする考えを付け加えたものです。 第38条「理事長」は前条と同じ趣旨で「使用細則」を「使用細則等」としたものです。 第4節 総会 第43条「招集手続」は従前総会「2週間前」までに議案の通知を行うこととなっていたものに加え、会議の目的が建替え決議である場合は、「2ヶ月前」としました。また、建替えを必要とする理由、建替えに必要な費用・内訳、総会1ヶ月前までの事前説明会開催の規定が新設されました。 第44条「組合員の総会招集権」、第46条「議決権」、第47条「総会の会議及び議事」、第49条「議事録の作成、保管等」、第50条「書面又は電磁的方法による決議」については、区分所有法の改正に伴い、電磁的方法の利用について記しています。簡単に言うと、管理組合理事会の議決権行使の具体例として、電子メールの送受信やウェブサイト(管理組合ホームページ)を利用することについて規定を変更・追加しています。 第48条「議決事項」は建物の建替えに係る計画・設計等の経費、修繕積立金の保管・運用方法について新設されています。 旧第47条「総会の決議に代わる書面による合意」は削除されました。 第5節 理事会 第53条「理事会の会議及び議事」についても電磁的方法の利用について変更・追記されています。 第54条「議決事項」は文中の用語変更で、従前は「規約の変更及び使用細則の規定又は変更」を「規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止」となりました。 第55条「専門委員会の設置」は理事会の責任と権限範囲で専門委員会を設置できる規約を新設しました。 第7章 会計 第60条「管理費等の徴収」は未払金額の延滞損害金と違約金について、管理組合を代表して理事長が未納組合員に対して請求できることを追加しました。また、係る弁護士費用等についても管理費から充当する定めを追加しました。 第65条「消滅時の財産の清算」は各区分所有者の共用部分の共有持分割合に応じて各区分所有者に帰属する旨を新設しました。 第8章 雑則 第67条「理事長の勧告及び指示等」は義務違反者に対して理事会の決議を経て理事長が講ずることができる規定を変更・追加しました。 第70条「細則」は各届出事項等について別途定めることができることを新設しました。 第72条「規約原本等」は電磁的利用が可能な場合と可能ではない場合について規定を新設しました。 以上、改正内容のポイントについて簡単に説明させて頂きました。説明の中で度々出てきました「電磁的方法の利用」に関する規定については、今後の課題として各管理組合の電子メールの送受信やウェブサイト(管理組合ホームページ)の利用状況に応じて、より具体的で分かり易い方法を検討する必要があると思われます。 テーマ2:マンション管理運営上の法律相談 非公開 ※今後ともマンション管理運営のため、よりよいセミナーを企画して行きます。 以 上 |
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